世界のサルのことわざ その2
こんにちは。二助企画です。
前回に引き続き、今回もおサルさんにまつわる「ことわざ」について。今回も3つの言葉について、ご紹介していきます!
■アラブ
「サルはその母の目では鹿だ」
アラブにおいては、おサルさんは、一般的に「醜さ」を例えるような存在だそう。一方で、鹿は「外見の良さ」「美しさ」の象徴。つまり、一般的に美しいとは表現できないような容姿である子どもでも、その母にとってはとても可愛らしい存在に見える、ということですね。醜くても、好きな人の目にはカンペキに映る。
日本においては、「あばたもえくぼ」「恋は盲目」あたりが、最も近いことわざではないでしょうか?ところで、日本では、自分の家族について語るとき、謙遜する文化がありますが、アラブの世界では、とにかく自慢するそうですよ!面白いですね。
■韓国
「猿も木から落ちる時がある」
これは……!もうそのまんま。日本のことわざ「サルも木から落ちる」とまったく同じ意味のことわざが、韓国でも使われているそうです。ちなみに同じ意味のことわざは、世界にたくさんあるようで。
インドネシアでは、「どんなに飛びはねるのが上手なリスでも、一度くらい落ちる」
ロシアでは、「馬は四本足でもつまずく」
といった具合に、動物がモチーフになっている点が共通するのが興味深いところです。
■中国
「朝三暮四」
最後にご紹介するのは、故事成語です。ん?サルの文字が入っていないのでは……?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この「朝三暮四」という言葉、実はおサルさんととっても深い関わりがあるのです。
この言葉の意味は、「目先の違いに気をとられて、実際は同じであるのに気がつかないこと。また、うまい言葉や方法で人をだますこと」(デジタル大辞泉より)。
春秋時代の宋国に、狙公(そこう)と呼ばれていたサルの飼育家がいました。(※「狙」は「サル」という意味の漢字ですね)。彼は、たくさんのサルを飼っていましたが、繁殖しすぎてしまった。そこで、餌のトチの実を減らすことにしました。
最初は、「朝に3つ、夕方に4つのトチを与える」とおサルさん達に説明しましたが、おサルさん達から猛反発が。そこで、「では、朝に4つ、夕方に3つでどうだろうか?」となだめ、おサルさん達はそれを喜んで承諾したという寓話から、この言葉が生まれています。
この寓話は、中国戦国時代の思想家が記した「荘子」「列子」に記されています。しかし、その解釈は両者で少し異なるよう。
「荘子」では、1日合計7つであることには変わりないのに、よけいな気を遣うことで、かえって偏見を持ってしまうという解釈。
「列子」では、統治者的な解釈。頭のいい者が、愚かな人達のことを思い通りに支配し、懐柔するということの例えで用いられているようです。
どうやら「列子」の解釈が、現代にも引き継がれているようですね。
二助企画は、日本の伝統芸能猿まわしのプロフェッショナル集団。
猿まわしやニホンザルのことについて、あらゆる領域から情報発信をしてまいります。
ブログは毎月2回、第1・3金曜日に公開予定。
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!
主な参考文献・サイト(順不同)
・Webふらんす/白水社
https://webfrance.hakusuisha.co.jp/posts/3184
・世界のふしぎなことわざ図鑑/著)北村孝一著/イラスト)伊藤ハムスター/株式会社KADOKAWA
・動物故事物語/實吉達郎著 出版社:河出書房新社
ほか